大学院教育

田中謙治研究室は九州大学総合理工学府先端エネルギー理工専攻の研究室です。本研究室は核融合科学研究所と連携で講座を運営している連携講座で、岐阜県土岐市の核融合研究所内に設置されています。講座を主宰する田中謙治教授は核融合科学研究所に所属し、九州大学の教官を併任しています。連携講座とは九州大学と国内の他研究機関が共同で大学研究室を運営するシステムです。これにより、大学院学生は最先端の研究に参加しつつ、大学院教育をうけることができます。

修士課程1年の前期は九州大学筑紫キャンパスで単位を取得し、その後核融合科学研究所の磁場閉じ込め型プラズマ実験装置LHD(Large Helical Device)で研究を行います。

博士課程に進学する方は5年間で成果を出せるような綿密な研究計画を立てる必要があります。博士課程に進学する際には経済的な問題、卒業後の就職の問題がありますが、まずは、研究に対する強い情熱と、研究するうえで困難があってもそれを克服するという強い覚悟が必要です。博士課程に進学するかどうか迷っている方はぜひ個別にご相談ください。

修士課程で卒業される方は、修士課程の間に実験研究の経験を積み、研究成果をまとめて発表できるスキルを身に着けてもらいたいと思います。就職後、全く違う分野に進んだとしても仕事を準備して成果を出して報告するというプロセスは共通するところが多いと思います。2年間は短い期間ですができるだけいろんな経験を積んでもらいたいと思います。

学生生活については、学生目線で語ってもらったほうが、わかりやすく説得力があると思うので以下にOBの竹志田憧太くん(当時在学中)にお話ししてもらいました。

以下、先輩からの独断と偏見で簡単に説明させていただきます!!!!!

1. 研究所所在地に関して。

研究所は、岐阜県多治見市と土岐市の境界の土岐市側です。

土岐市は、戦国時代より陶芸の町として有名であり、多治見市は人口が10万人程度の小さな町ですが、名古屋のベッドタウンであることもあり、日常生活で欠かせない物(コンビニ・食品・雑貨・病院・美容院・家電・ニトリ・居酒屋)は全てあります。

住むところですが、多治見市内(駅周辺)をおすすめします。家賃は3万円程度から部屋を借りる事ができ、値段の割に質のいい部屋に住む事ができます。

After5や土日で遊ぶ際は、名古屋で遊ぶことをお勧めします!!!!名古屋駅より、JR中央線で40分の距離で、名古屋から多治見の最終は、24時5分です。

2. 学生生活に関して。

研究所には、九州大学生のみならず、名古屋大学・総合研究大学院大学・世界各国からの留学生が日々研究をしています。国籍関係なく日々交流する事で、語学力の向上に繋がります。また、研究所全体の中での学生の数が少ないため、学生間の交流が盛んで、夕食を学生同士で外食に行く・イベントを企画し遊びに行く・スポーツを嗜むなど楽しみ方は様々です。研究に関しては、様々なバックグラウンドを持つ人たちが集まっている事もあり、どの分野においても気軽な気持ちで質問をする事ができ、懇切丁寧な回答を示してくれると思います。

3. 就職活動に関して。

学生の皆さんの中には、ここを重視する人もいるのではないかと思います。就職活動を乗り越える事も修士2年間の中では、とても重要な事だと考えています。私自身ここがとても入学するまで心配でした。「就職活動をする時間はあるのだろうか。」「九州大学を離れて情報が入って来ないのでは?」「そもそも就職できるのか?」など多くの不安を抱えて入学しました。

正直に答えると、「就職活動に寛容なため自分次第」だと思います。私自身就職活動でこの研究室に入った事で困った事はありません。むしろメリットしかありませんでした。私自身、多くの企業からありがたいお話がありました。この研究所で日々頑張っていれば、必ず結果は自ずとついてくると思います。

4. 勝手にQ&A。

Q.田中先生はどんな先生ですか。
A.情熱に満ち溢れ、仕事を本当に愛している学生想いである先生です。

Q.コアタイムはありますか。
A.時期によりますが、学生の主体性を大切にしています。

Q.卒業後はどのような扱いになりますか。
A.九州大学大学院修士卒扱いになります。

5. 最後に。

入った後に、ギャップがあると困るので、述べられる事は正直に答えたいと思います。国家機関の研究所であるため、正直楽な生活ではありません。田中教授は学生想いの先生であり、仕事に対して本当にストイックだと思います。時には俺死ぬんじゃないのかと思う日々もありました!!!本当に死ぬんじゃないのかと(笑)。それでも、この研究所に入って日々揉まれながらも食らいついていった結果、就職活動を乗り越えられ、表彰される事もありました。

現在の学力は関係ありません。バイタリティーと根性があればなんとでもなります。私自身院試ならびに学部時代の成績は目も当てられないほどでした。後はあなたの行動次第です。何かの本に書いてましたが、環境を変える事が自己成長において大切だと。最後の学生生活2年間を楽しみましょう!!!

百聞は一見に如かずという言葉にもあるように、少しでも興味を抱いたら研究所に見学に来てください。必要以上に案内いたします!!!(後輩が)




さらに追加で、最近の状況も踏まえたアドバイスをD1の酒井彦那くん(現在在学中)にお話ししてもらいました。

以下、主に連携講座について少し細かく説明します。

1. 連携講座の強み

通常、大学院の研究室というとその大学の敷地内の研究棟に学生部屋があってそこで同じ研究室(あるいはグループ)の学生同士が各自雑談等しながら研究するところを想像されるのではないでしょうか。九大院に進学するのであれば福岡での生活を思い描くと思います。そんな中、あえて連携講座を選択し県外(しかも本州のど真ん中)に行くことに何かメリットがあるのか?この問いにお答えしましょう。

   

まず、わかりやすいのは研究設備の充実度です。核融合研のLHDはもちろん、ほかにも様々な装置・設備がそろっており、通常の研究室では難しい大規模な研究が可能となります。

次に、研究支援の充実度です。九州大学と核融合研両方に所属することになるので、研究会や勉強会等のお知らせがより多く届くようになり見聞を広めるきっかけになりやすいです。また、総合研究大学院大学の講義を聴講できるようになるのもメリットです。

ここまで聞くと、意識の高い人や博士進学者にしか利がなさそうに感じるかもしれませんが、修士課程のみの在学でも連携講座はプラスに働きます。竹志田さんがすでに述べているように、就職活動に強いのです。重工系の大企業は核融合研のことを知っていますし、そうでなくとも文科省管轄の研究所に籍を置いて2年間研究したということはほかの就活生と比べて独自性があり積極性もアピールできるので、うまく使えば強力な武器になります。

また、これはただの趣味の話ですが、知らない土地を拠点にするとその周辺のいろんな場所へ旅行したり遊びに行ったりすることができます。残り少ない学生生活だからこそ、全く新しい環境に身を置いてみるのもよいのではないでしょうか。

2. 金銭面に関して

大学院生活では奨学金を借りる方が多いかと思いますが、これには返還免除という制度があります。簡単に言えば、研究を頑張って専攻から推薦されれば半額か全額返還免除しますよというものです。全体の3割が免除対象となっているようですので、ハードルも異常に高いというわけではありません。田中研では免除の実績が多数あるため、そういった指導も受けることができるでしょう。調べて計算すればすぐにわかりますが、半額免除でも非常に大きな額面になりますので狙って損はありません。

また、授業料は九大に納付するので九大の授業料免除に申請することが可能です。1/4、1/2、全額の3種類の免除がありますが、1/4まで含めると僕の知り合いだけでもかなりの学生が免除を受けているようです。ほかにも、民間財団の奨学金は多数あり申請可能です。

博士課程進学希望者は以上に加えて、特別研究員と呼ばれる制度に採択されることで月20万円程度を毎月支給してもらうことが可能です。もっとも有名で権威があるのは学術振興会(学振)のDC1/2で木下さんが受給していますが、僕のように核融合科学研究所の特別研究員に採択された場合も同等の支援を受けることができます。九州大学には授業料を全額免除にすることができる賞もあるので最近は博士課程の学生に対する支援が充実しており、お金のことをあまり気にせず研究に専念することができます。

このように、修士課程/博士課程ともに、金銭的支援が豊富に用意されているので、進学を検討する一つの材料に入れてみてください。

3. 最後に。

竹志田さんが書かれているような「根性」「バイタリティー」といったワードは、今やブラック企業を見抜くときに真っ先に注目されるものとなっているので、これまでの説明を読んで不安になった方もいらっしゃるかと思います。しかし時代も変わり、現在は個人個人が自分に合った研究スタイルを見つけて修了という一つの大きな目標に向かっていくスタンスとなっています。もちろん学会前や何か締め切りの直前等は徹夜することもありますが、普段の研究からずっとハードな毎日が強いられるわけではありません。田中先生は学生の意見を聞いてくださるので、研究の進め方については田中先生と相談し、就活や学会・論文とのバランスをとっていくことで快適な研究生活を送ることができると思います。

不安なこともたくさんあると思いますので、もし田中研に興味を持っている方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度核融合研まで足を向けてみてください。僕からもいろいろ説明させていただきます。

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